撮影ノート
某月某日 鍾馗さんがあったので三脚を立てていると、ガラリと戸が開いてオバさんが出てきた。
「すみません、ちょっと写真を撮らせてもらいます」
オバさん、ビックリして
「へえ?私をですか?」
こちらもビックリして言葉が出ず、しばらく二人で見つめ合っていた。

某月某日 道の突き当たりには、必ず鍾馗さんを上げたもんや、と行きずりのオジさんが
教えてくれた。

某月某日 京都の真ん中で、曲がりくねった抜け露地から出てくると、一瞬方角がわからなく
なり、仕方がないのでオバさんに道を聞くと、カメラを持っていたせいか、「どこ
からおいでやしたんどす」とたずねられ、思わず「大阪から」と言ってしまった。

某月某日 間口の広い、立派な構えの家には、何故か鍾馗さんはない。
鍾馗さんは、やはり庶民のささやかなガードマンなのだ。

某月某日 ファインダーをのぞいていると、オバアさんがとうりかかる。
「なにしといやすねん?」
「鍾馗さん撮ってますねん」
「シヨウキサン?アアこれなあ、こんなんやったら××さんとこにもあるのと
違うかなあ、コッチ、コッチ」とオバアさん勝手に歩き出すのでついてゆく。
「オハヨウサン」と××さんの家に入って行ったオバアさん、やがて××さんと
一緒にでてくる。
「この人ショウキサンの写真撮ってはるのやて」
「ご苦労さんどす」と××さん。
「そや、○○チャンとこにもあったなあ、そこの通り曲がったとこの」
三人で通りを曲がると、○○チャンが家の前の植木に水をやっていた。
撮影している間に、オバアさん、××さん、○○チャン、三人で、ココにもある、
アソコにもあると次の場所の相談で大ハリキリ。
あかん!こんな事してたら、このあたりのオバアさんが十人でも二十人でもついて
くるがな!